「ゴルフ会員権の会計処理ってどうやるの?」「会計処理の情報が多すぎてどれをみたらいいかわからない!」
ゴルフ会員権関連の会計処理は、所有形態や使用実態によって処理方法が大きく異なるため、かなり複雑になってしまうのが実情です。
本記事では、そんなゴルフ会員権の会計処理でお困りの方に向けて、会計処理に関して、最低限理解しておきたい部分を厳選して解説しています。
本記事を最後まで読み進めていただくことで、ゴルフ会員権の会計処理についてしっかりと理解することができます。
ぜひ最後までチェックしてみてくださいね。
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ゴルフ会員権とは?
ゴルフ会員権の会計処理を語る上で、「ゴルフ会員権とは何か」について、まずしっかりと理解しておかなければなりません。
「ゴルフ会員権」とは、会員制を採用しているゴルフ場を、一般の利用客よりも優先して使用できる権利のことを指します。
また、ゴルフ会員権にも種類が多く存在し、現在、日本のゴルフ場で主流になっているのが「預託金会員制」と「株主会員制」の2種類です。
「預託金会員制」
「預託金会員制」とは、会員権購入の際に一定額を預託金としてゴルフ場会社に預け、「優先的施設利用権」と「預託金返還請求権」を取得する制度のことです。
預託金の返還期限が過ぎた場合、ゴルフ場に対して、入会金などを除く証券額面記載の預り金を返還するよう請求できる権利
また、この「預託金」は一定期間据え置きになりますが、期日がきた場合は退会の際に預託金の返還を請求する事ができます。
ただし返還に応じるかどうかはゴルフ場によって対応が異なる上、ゴルフ場が倒産した場合、返還されるケースはほとんどありません。
現在では全国の90%以上のゴルフ場がこの「預託金会員制」を採用しています。
「株主会員制」
「株主会員制」とは、入会時に株主として一定額を出資する事で、ゴルフ場を経営している会社の株主となり、「施設利用権」を取得する制度のことです。
また、「預託金会員制」とは違いクラブが解散となった時には、出資比率に応じて、クラブの残った財産を請求できる権利があります。
もちろん経営会社の株主でもあるため、株主としての権利や売買に関しては契約書に定められたルールに従います。
「ゴルフ会員権」についてもっと詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてみてください。
ゴルフ会員権の会計処理「時価評価」
「時価評価」とは、企業の保有する資産の価値が下落した場合、帳簿に記載されている金額を実態に即した価格まで下げることにより資産を回収する会計手法です。
この「時価評価」は、企業会計の透明性維持と、国際的な会計基準へ合わせることを目的として2001年3月から全ての上場企業の会計処理に導入されています。
ゴルフ会員権の会計処理を行う際も、この「時価評価」は大きな影響を及ぼし、「時価評価」のある無しで細かい会計処理の方法が大きく変わってきます。
基本的にはゴルフ会員権の会計処理に関しては、この「時価評価」で行われることが主流となっております。上場企業に関しては「時価評価」での会計処理が必須であり、非上場企業においても推奨されております。
ゴルフ会員権は時代や時期によって、価格の変動があり、バブル期から比べると取引価格が1/10になっているゴルフ会員権も存在します。取得した時期の価格と現在価格が異なるケースが多数あるため、「現在の価格に応じた価格評価をすべき」という文脈でも時価評価が強く推奨されているのです。
ですので、この「時価評価」についてはしっかりと頭に入れた上で読み進めてください。
ゴルフ会員権の会計処理方法「時価評価の場合」
時価評価の場合、「預託金会員制」と「株主会員制」とで以下のように会計処理の方法が変わってきます。
「預託金会員制」の場合
時価の下落が、保証されている金額を上回る場合は評価損を計上し、預託金額の範囲内の場合は、預託保証金に対する貸倒引当金を設定します。
企業の倒産などで債権が回収できなくなるリスクに備え、損失になるかもしれない金額を予想し、あらかじめ計算したお金のこと。
「株主会員制」の場合
株式形態の場合、時価が著しく下落しているとき(一般的には50%以上下落した場合)、持ち直しの見込がある場合を除き、評価損を計上する。
ゴルフ会員権の会計処理方法「時価評価ではない場合」
前章とは対称的に、時価評価ではない(一般的には簿価評価)の場合、「預託金会員制」と「株主会員制」の会計処理方法は以下のように変化します。
「預託金会員制」の場合
ゴルフ会員権を発行する経営会社の財政状態の悪化により、ゴルフ会員権の実質価額が著しく低下した場合、評価損を計上します。
「株主会員制」の場合
預託保証金の回収可能性に疑いが生じた場合には、債権の評価勘定として貸倒引当金を設定します。
上記のように、時価評価のあるなしで会計処理の方法は大きく変わってきます。それを踏まえた上で、次章からは、具体的な会計処理例を解説していきます。
ゴルフ会員権の会計処理例① 「預託金の一部が切り捨てられた場合」
1つ目のゴルフ会員権の会計処理例としてあげられるのが、「預託金の一部が切り捨てられた場合」です。
これは、経営側であるゴルフ場が、倒産もしくは破産し、「預託金会員制度」によってゴルフ場に預けていた預託金の一部が、法律的に消滅した場合を指します。
この場合の会計処理は原則的に以下のようになります。
預託金の一部が法律的に消滅した場合、その部分の金額については、切捨ての事実が生じた事業年度において、貸倒損失として算入されます。
※ただし、ゴルフ会員権を、預託金の金額よりも低い価格で取得している場合は、実際に帳簿に記載されている金額と、一部消滅後の預託金額との差が貸倒損失として算出できる金額の限度になります。
ゴルフ会員権は、会員契約の解除がなければ預託金返還請求権(金銭債権)に転換しません。再生手続は、手続き終了以降も経営を継続するのが前提であるため、ゴルフ会員権契約は解除されることはありません。
ですが、「預託金の一部切捨て」という事実は、会員とゴルフ場間の貸し借り関係が法律的になくなることです。言いかえれば、ゴルフ場経営側は再生手続きにより債務が減った分の金額を得するわけです。
契約上の債権・債務関係が変更されたという事実を考慮すると、債権者においても、消滅した債権に相当する損失額を認めなければなりません。
ですので、「預託金の一部が切り捨てられた」場合には、会員は従来どおりゴルフ場施設を利用できても、切り捨てられた部分の金額に限り、貸倒損失の算出が認められるというわけです。
ゴルフ会員権の会計処理例② 「預託金の一部が返還された場合」
2つ目のゴルフ会員権の会計処理例としてあげられるのが、「預託金の一部が返還された場合」です。
ゴルフ会員権は、預託金によって取得価格が形成されています。つまりこの場合、ゴルフ会員権の所有者に返還された金銭は、契約によりその「価格の一部が回収された」ものとしてみなされます。
ですので、具体的な会計処理の方法としては、ゴルフ会員権の取得価格から減額という形となるわけです。
ゴルフ会員権の会計処理例③「金銭債権に転換するタイミング」
3つ目のゴルフ会員権の会計処理例としてあげられるのが、「会員権が金銭債権に転換するタイミング」です。
この場合、基本的に、破産手続が開始された時点で、「ゴルフ会員権」は金銭債権に変換されます。
ゴルフ場経営会社の破産手続が開始された場合、財産を保護する目的から施設は閉鎖され、ゴルフ場の会員は、預託金債権の範囲内で配当を受けとります。
破産手続は最終的に事業の廃止を前提としています。そのため、仮に裁判所の許可のある状態で営業する場合でも、破産手続開始の時点で「ゴルフ会員権」は「金銭債権」に変換となります。
ゴルフ会員権の会計処理例④「会社更生法の申し立てがあった場合」
最後、4つ目のゴルフ会員権の会計処理例としてあげられるのが、「会社更生法の申請があった場合」です。
「会社更生法」とは経営困難に陥った企業に対し、当該企業の持つ事業の改善を目的とした手続を行うために制定された法律のことです。
この場合、ゴルフ場を経営する会社において、「会社更生法」による更生手続開始の申請が開始された場合でも、会員の「施設利用権」が失われない限りは、ゴルフ会員権は金銭債権とは認められません。
ゴルフ会員権の会計処理 「まとめ」
以上、本記事ではゴルフ会員権の会計処理の方法と、その具体的な例をご紹介しました。
「時価評価」は、企業会計の透明性維持と、国際的な会計基準へ合わせることを目的として2001年3月から全ての上場企業の会計処理に導入されています。非上場企業においても「時価評価」でのゴルフ会員権の会計処理が強く推奨されております。
また、ここまでお読みいただいてわかるように、ゴルフ会員権の会計処理は非常に複雑な処理が必要であるため、ゴルフ会員権業者や専門の税理士、会計士に委託することを強くお勧めします。
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